九州新幹線鹿児島ルート(博多-鹿児島中央)が全線開業して12日で10年を迎える。同時に新大阪までの山陽新幹線との相互乗り入れもスタート。それによる時間短縮効果もあって、熊本と大阪の間を移動する際の新幹線利用者が増え、航空機の利用割合とほぼきっ抗する状況になっていることが熊本日日新聞の分析で分かった。
国土交通省の旅客地域流動調査や九州運輸局の統計データを基に、熊本と大阪をそれぞれ発着地として移動した人の数などを分析した。
それによると、JR(新幹線と在来線の合算)と航空機を合わせた2010年度の輸送人員は72万人だったのが、データが最も新しい18年度には99万2千人と37・7%増加。移動時間の短縮効果や移動手段の多様化で往来する人の“パイ”が拡大した格好だ。
移動手段の比率をみると、10年度は航空機が73・3%を占めていたのに対し、18年度は50・9%に低下。その分、新幹線利用の割合が増え、両地域の移動において航空機と二分する状態になっている。ただ“パイ”の拡大で、航空機の輸送人員の落ち込みは10年度に比べて2万3千人程度にとどまっている。
また大阪以外の主要都市間のJRの輸送人員(18年度)は、熊本-広島が10年度比2・1倍の21万6千人、熊本-岡山が同2・2倍の9万7千人と、いずれも大きく伸びた。
熊本-福岡も584万人と1・4倍に拡大した。一方、熊本-福岡の高速バスの輸送人員をみると、18年度は149万人で10年度比18・4%増。全線開業以降もおおむね年間140万~150万人を維持しており、すみ分けが図られている印象だ。(中原功一朗)
参照:熊本日日新聞(https://kumanichi.com/news/id129199)