最近、仕事を終えて外に出ると、もう空が茜色に染まっていることが多くなりました。
夕方の空気がやわらいで、夏の終わりとは違う静けさを感じます。
街の灯りが少しずつ増えていくその時間、
帰宅すると「ガーデンマム・ジジ」がぽつぽつと花を咲かせていました。
ふんわり丸いフォルムの花が、つぼみを少しずつ開いていく様子を眺めるのが、
最近の小さな楽しみです。
日中は太陽を追うように花を向け、夜になるとそっと頭を下げる。
その姿を見ていると、「今日も一日おつかれさま」って声をかけてもらっているような気がします。
🌸ピンクと黄色のやさしいコンビ

最近仲間入りした、ガーデンマム・ジジ
💬奥がピンクのジジ、手前が黄色のジジ。
秋の夜のやわらかい光の中で、どちらも少しずつ咲き始めています。
ピンクはやさしく、黄色は明るくて元気。
並べて植えると、まるで“朝と夕方の光”が寄り添っているように見えて、
見ているだけで心が少し軽くなるような気がします。
実はこのガーデンマム・ジジ、色の種類もとっても豊富なんです。
白、クリーム、オレンジ、赤、ライラック(淡い紫)など、メーカーによって少し違いますが、
どの色も形がそろうように育てられているから、寄せ植えしても自然と調和します。
白を加えると清楚に、オレンジを合わせると秋らしく、ライラックを添えると幻想的。
園芸って、デザインと科学がちゃんと手を取り合ってるんだなあと感じます。
黄金の花の名前の由来

少しずつ開き始めたジジのつぼみ。光の当たり方で、ピンクも黄色も表情が変わります。
名前の「マム(Mum)」は、菊の学名 Chrysanthemum(クリサンセマム) から来ていて、
ギリシャ語で chrysos は“黄金”、anthemon は“花”。
つまり「黄金の花」という意味。
もともとは日本の菊がヨーロッパで改良され、再び日本に戻ってきた花なんです。
世界を旅して帰ってきた――まるで帰国子女のような存在ですね。
🌙 光で季節を感じる花
そして、ガーデンマムは「短日植物」といって、
昼の時間が短くなると「そろそろ咲く季節だ」と感じて花を咲かせる性質があります。
夜に照明を長く当てると、「まだ昼間だ」と勘違いして咲くのが遅れてしまうことも。
自然のリズムをちゃんと覚えていて、光で季節を感じ取るなんて、
植物の中にある“目に見えない時計”の正確さには本当に驚かされます。
🌿 花がくれる癒しの時間
花を育てることには、心を整える力もあります。
園芸療法では、土を触ったり水をあげたりすることで、
ストレスホルモンが減って、代わりに“幸せホルモン”が増えることが分かっています。
たしかに、水をあげているときや、つぼみがふくらんでいるのを見つけたときって、
不思議と気持ちが落ち着くんですよね。
庭のジジを見ていると、特別なことがなくても、ちゃんと季節は進んでいくんだなぁと思います。
毎日同じように咲いて、同じように風に揺れているけれど、
その「当たり前」の光景が、実は一番ありがたいのかもしれません。
あたりまえのようで、あたりまえじゃない日々に、
そっと感謝の気持ちをこめながら――
今日も、花と話す静かな時間を過ごします。


